信用するのをやめると、世界はもっと「自由」になる

先日、ある方から「信じていた人に裏切られた」というお話を伺いました。

人間関係のご相談を受けていると、よく出会う切実なテーマです。

じっくりとお話を伺ってみると、その方の価値観の中に「人はこうあるべきだ」「信頼するならこうしてくれるはずだ」という、人への大きな期待が隠れていることが見えてきました。

例えば、「親友なら、私のピンチには何をおいても駆けつけてくれるはず」「家族なら、言わなくても私の辛さを分かってくれるべきだ」といった、無意識の決めつけです。

そこで私は、いくつか問いを投げかけてみました。

「もし、その期待通りの自分を、一生演じ続けなければならないとしたら、あなた自身はどう感じますか?」

「全部を信用されるということが、相手にとって時に『逃げ場のない重荷』になってしまうとしたら、どうでしょう?」

「誰からも裏切られない完璧な世界と、お互いにフラフラ揺れながらも支え合える世界、どちらが呼吸がしやすいですか?」

クライアントさんは、すぐには答えを出されませんでした。

けれど、問いを静かに受け止めて、ひとつひとつの言葉を心の中で確かめていらっしゃる様子でした。

その場ですべてが解決したわけではありませんが、自分自身や相手を縛っていた「期待」という鎖の重さに、少しずつ思い当たるところがあったようです。

知らず知らずのうちに、相手にも自分にも完璧さを求めて苦しくなっているあなたへ。

今日は、人間関係が驚くほどラクになる「魔法の視点」をお届けしますね。

それは、「そもそも、人を信用する・しないというモノサシを捨てちゃう」ことです。

🍀大切な人だからこそ「信用」という縛りを解く

「えっ、親友や家族も信用しちゃいけないの?」と思うかもしれません。

皆さんも少し考えてみてほしいのですが、「信用してるよ」という言葉に、どんなイメージを持っていますか?

もし、あなたが誰かから「あなたのことを100%信用しているから、絶対に裏切らないでね」と言われたら……どうでしょう?

普通、口に出して「絶対に裏切らないでね」とまで言う人は少ないかもしれません。

でも、「信用してるからね」という言葉の裏側には、実はその一言が隠れているのと同じようなものです。

言っている側は励ましのつもりでも、受け取る側にとっては、期待に応え続けなければならないプレッシャーになり、自由を奪う「足かせ」になってしまうこともあるのです。

言われたときは嬉しく感じるかもしれませんが、その期待は知らず知らずのうちに、無意識の奥底で「重荷」として溜まっていくことがあります。

家族だろうが、親友だろうが、一人の人間。 「信用」という名で相手を縛らず、一歩引いて「境界線」を引いてあげる。

それが、お互いが自分らしくいられるための、本当の優しさ(境界線)なんじゃないかな、と思うんです。

🐈自分だって「自分」を100%信用できない(笑)

そもそも、自分自身のことを考えてみてください。

「明日から毎日ランニングするぞ!」と決めたのに、翌朝の雨で「……やっぱり寝よう」とあっさり自分を裏切ること、ありませんか?(私はよくあります!)

でも、それでいいんです。

だって、私たちには「感情」があるから。

気分が乗る日もあれば、悲しみに沈む日もある。

言っていることが昨日と今日で違ったって、いいんです。

自分自身でさえ全部を信用しきれない「お天気屋さん」なんですから、他人の予報が外れるのは当たり前。

「人間だもの、感情に波があって当然だよね」と思えると、自分とも他人とも、もっと気楽に付き合えるようになります。

最近流行りの「感情のコントロール」

最近はビジネスの世界や成功哲学の本でも、「感情をコントロールする能力」が重要だ、なんてよく言われていますよね。

私も心理学を学んだ際に、そういったプログラムに触れたことがあります。

確かに、社会の中で役割を果たしたり、誰かを傷つけないための「ブレーキ」として、感情をコントロールする技術は役に立ちます。

でも、24時間ずっと自分を制御しようなんて思わなくて大丈夫。

仕事の時は適度に整えるけれど、一人の時や大切な人の前では、思いっきり感情を「味わう」時間があっていいんです。

特に、「自分はどうしたいんだろう?」と自己理解を深めたり、深層心理を探求したりするとき、感情はあなたの現在地を教えてくれる「羅針盤」になります。

悲しいときは、しっかり悲しむ。 喜びだって、無理に抑える必要はありません。

湧き上がる感情を「なぜ私はこう感じるんだろう?」とまるごと受け入れて(受容して)みる。

その心の揺れを指針にすることで、初めて自分の本当の声に気づくことができるんです。

「信用」という硬い絆で相手をガチガチに固めるのではなく、「揺れる感情」を持った不完全な者同士として、ただそこに一緒にいる。

その方が、ずっと温かくて、自由な関係だと思いませんか?

🌸「信用」を「境界線」に変えると、関係はもっとやさしくなる。

裏切られたのではなく、相手の「心のお天気」が変わっただけ。 自分を愛するように、その不完全さを面白がってみる。

そんな風に、感情の波をプカプカと楽しむように生きていけたらいいですね。

🌈今回の記事に関連したおすすめの本を紹介します

『嫌われる勇気』岸見一郎・古賀史健 (著)
今回のテーマである「境界線」や「信用」の問題を、「課題の分離」という視点で鮮やかに解き明かしてくれる一冊です。「裏切るかどうかは相手の課題」という教えは、対人関係の悩みから自由になり、「自分の中に答えがあったんだ」と深い安心感を与えてくれる、私からも自信を持っておすすめしたい名著です。
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心理カウンセラー 木村裕

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