怒りの蛇口を閉めるより、「心のバケツ」を好きで満たす

「あれ? なんだこれ……」

通帳を記帳した私の目に飛び込んできた「マイナス 11,000円」の文字。

心当たりを辿っていくと、なんと2年前に辞めた心理学講座の会費でした。

実はこれ、1年前にもあったんです。その時の私は、かなり怒っていました。

「もう辞めたはずなのになんで!」と、電話で文句を言って返金してもらったのを覚えています。

ところが、今回の私は違いました。

2年経っても同じミスを繰り返す運営側に「またか……」と呆れる気持ちはありましたが、「もう、何度も言ってもしょうがない」「そこに無駄なエネルギーを使いたくない」という思いが先に来たんです。

結局、原因がわかってお金が戻ってくるなら「とりあえず、それでいいや」と、スッと納得している自分がいました。

💡「怒り」は自分を守るための切実な叫び

誤解してほしくないのは、「怒ること=悪いこと」ではないということです。

以前、ある相談者の方と一緒に怒りの根源を探っていった時のことです。

その方の場合は、怒りが「自分にとって本当に大切なものを守りたい」という、心の奥底からの切実な叫びであったことが分かりました。

怒りは自分を守るための大切な「生存本能」であり、自分を大切にしようとする時には必要な感情なのです。

ただ、それとは別に、日常には「怒りを誘いやすくする背景」というものが存在します。

  • 部屋が散らかり放題
  • あまり好きではない人と無理に一緒にいる
  • 睡眠不足や食生活の乱れなど、健康な状態ではない
  • 自分のやりたいことは見つかっているのに、実際に行動に移せていない

これらはあくまで一つの例に過ぎません。

これらに共通して言える根本的な原因は、「本来の自分らしく生きられていない」ということです。つまり、「本当の自分」と「今の自分の行動」が一致していないこと。

そのズレが、目に見えない巨大なストレスとなってバケツに溜まっていくのです。

こうした小さなストレスや、やりたいことができない「停滞感」が「心のバケツ」に溜まっていると、11,000円という「最後の一滴」が注がれた瞬間に、感情がドバッと溢れ出してしまいます。

💧 47年間、私のバケツは「濁り」でいっぱいだった

今でこそこうして穏やかに話していますが、実は私、もともとはものすごく「怒りやすい人」だったんです。

振り返れば、幼少期からずっと喧嘩っ早く、人間関係のトラブルも絶えませんでした。

今現在の私を知る人にこの話をしても誰も信じてくれませんが、昔の私を知る人に聞けば、きっと全員が口を揃えて「あいつは本当に怒りっぽかった」と言うはずです。

心理学を学び始めてから少しずつその角は取れてきましたが、本当の意味で変われたのは、ここ最近のこと。

結局、47年間ものあいだ、私の心のバケツには「やりたいことを頭で想像するだけで、行動に移せていない」という不完全燃焼な思いが澱(おり)のように溜まり、水が濁りきっていたのだと思います。

「こうしたい」という想いがあるのに、足が止まっている。そのストレスが、私を攻撃的にさせていたのかもしれません。

🚀 その巨大なエネルギー、何に変えますか?

ここで考えてみてほしいのが、「怒りのエネルギーは、とてつもなく大きい」ということです。

怒っている時、私たちはすごい勢いでエネルギーを消費しています。

もし「どうでもいいこと」にその巨大なエネルギーを使い切ってしまうとしたら……それって、すごく「もったいない」と思いませんか?

1年前の私と今の私。一番の違いは、「自分のやりたいことに向かって、実際に行動できているか」という点でした。

1年前はまだ「こうなりたい」と想像するだけで現実は動かず、お金の面でもゆとりがありませんでした。

何かを買うにも妻にお願いしなければならない状況に、情けなさや強いストレスを感じていたんです。

でも今は違います。

心理カウンセラーとしての活動、ブログの継続、そして念願だった本の執筆……といっても、まだ一冊も完成はしていませんけれど!(笑)でも、実際に「書く」という行動をスタートさせていることが大きな違いなんです。

そして何より、「お金にゆとりを持ちたい」というのも、私の大切なやりたいことの一つでした。

ただ願うだけでなく、ゆとりを出すためにどうすればいいかを考え、実際に行動に移したことで、経済的なゆとりも生まれてきました。

今では妻に気兼ねすることなく、少しではありますが、自分のためにお金を使えるようにもなりました。

毎日、「じわりじわり」と一歩ずつ、実際に行動して進んでいる実感が、私のバケツの濁りを取り、綺麗な水で満たしてくれています。

実は、この「じわりじわり」こそが、何かを成し遂げる時の鉄則だと私は思っています。

一気に大きく変化しようとすると、振り子が戻るように、また大きなマイナスへと反動がきてしまう「振り子の法則」があるからです。

一歩ずつ、着実に進むことでしか、本当の意味での変化は定着しません。

自分の生き方が「行動」に移せず停滞していると、行き場を失った巨大なエネルギーは「怒り」として噴出しやすくなります。

でも、そのエネルギーを「やりたいこと」へガツンと向けることができたら、どれほど強い推進力になるでしょうか。

🛤️ 怒りを、幸せな人生への「道しるべ」にする

もし、今あなたが何かに強い怒りを感じているなら、それは「今の生き方、やりたいことが行動に移せていないんじゃない? 自分を置き去りにしていない?」という心からのサインかもしれません。

もちろん、とっさの怒りを鎮めるための具体的なテクニックも有効です。

  • 6秒待つ: 怒りのピークは最初の6秒。まずは深呼吸をしてやり過ごします。
  • 「今の状態」を実況中継する: 「あ、今自分はムカついてるな」と客観視して、脳を冷静なモードにします。
  • 場所を離れる: その場から物理的に離れて、視覚に入る情報を変えます。

こうしたテクニックは一時しのぎには有効ですが、根本的に解決するには、やはり「自己理解」を深めて「怒りの根源を探る」のも一つの手です。

自分が本当は何をしたいのかを見つめ直し、少しずつその方向へ歩き出すことです。

それこそが、怒りを少なくし、ストレスのない幸せな人生へと進むための、何よりの道しるべになります。

11,000円の謎の引き落とし。

それは、私が怒りにエネルギーを奪われることなく、自分の人生を自分の足で「じわりじわり」と歩めていることを教えてくれた、大切な「心のサイン」でした。

🌈今回の記事に関連したおすすめの本を紹介します

『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』八木仁平 (著)
「自分探しを終わらせたい」と感じている方にとって、まさに救世主となるような一冊です。「やりたいことは、情熱・才能・価値観の組み合わせで見つかる」という論理的なメソッドが明快で、「自分の中に答えがあったんだ」と深い安心感を与えてくれる、私からも自信を持っておすすめしたい名著です。
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心理カウンセラー 木村 裕

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